旅行日:2025/3/19 ※本文中の値段は訪問当時のものです。
【ベナン】
憲法上の首都はポルトノボ、政治の中心地はコトヌー。公用語はフランス語。
イスラム教、キリスト教、ブードゥー教が三大宗教。ラマダン期間中に旅行しましたがイスラム教関係以外だったためか特に影響はありませんでした。
体感的な治安は西アフリカエリアの中では穏やかな印象。
通貨は西アフリカCFAフラン(セーファー・フラン)(XOF)。中央アフリカCFAフラン(XAF)とは別です。将来的にECO(エコ)に変更するという話もあります。
ベナン入国前に、https://evisa.bj/でeビザの申請が必要です。(2025/2申請時外務省HP記載のアドレスから変わっていました。今後もアドレスが変わる可能性があるので、非公式サイトにだまされないようにご注意)
必要事項を淡々と記入すればOK。書きにくいと思われるのは「Means of subsistence」と「Return guarantee」。それぞれ「Credit cards and cash」と帰国フライト情報「Return flight (番号) by (航空会社) (eticket xxx-xxx, Reservation number: xxx) departing on (日付・時間) at Cotonou」などと書きました。
Single EntryでEUR50+追加チャージEUR1.55。実際の請求はXOF 33,812、支払日レートで8,309円でした。支払いはVISAかMastercardの3Dセキュアがあるもののみ。
支払後1分でeビザが送られてきてびっくり!
印刷して入国審査に持って行けばOK。
ベナン出国時、eビザを印刷した紙が必要です。もし入国後なくしてしまったら、ホテルなどで印刷をお願いしましょう。
プライベートツアーを予約
さて、この日は時間がないためコトヌーから日帰りで世界遺産アボメイの王宮群と水上都市ガンビエに向かいます。事前にツアーを探していました。
といっても1日でアボメイとガンビエに行こうとする人はいないのかツアーは見つけられず、オーダーメイドでお願いしました。お願いしたのはVisit Ganvié TourismのThéophile(テオフィル)さん。レスが早くて信頼度高めの印象。
料金は160ユーロ=XOF105,000(27,390円)とプライベートツアーにしては納得プライス。料金にはPrivate transportation with a dedicated driver、Fuel、Entrance feesが含まれ、ランチ、個人的な出費、チップは含まれません。
10日前くらいに支払いの依頼が来ました。個人で経営されているらしく、事前に車などの手配の準備をしてるから事前支払いが必要とのことで、プライベートツアーの場合は現地にすでに入っていない限り現金払いは難しいと思われます。paypalは便利だけどお金を受け取ることが不可能、stripeはアカウント持っていないということでクレカ払いはできません。
そこで依頼されたのはウエスタンユニオンでの送金。アプリで送金できますが、登録と身分証アップロードなどが必要なので早めの準備が必要です。インボイスはユーロ建でしたが、現地通貨でしか送金できないのでXOF105,000で支払いをかけました。また、MTCNだけでは送金できず、送金先国・受取方法(現金またはeWallet)・受取人の姓名・住所・送金目的(選択式)・資金源(選択式)・受取人との関係(選択式)を記入します。姓名・住所はインボイスに書いてあるのでそれを転記。受取人の受取方法はあらかじめ聞いておく必要があります。(2025年当時の話であり、今後変更になる場合があります)
コトヌーからアボメイへ
予定の9時ごろ、Théophileさんご本人がドライバーをつれてやってきました。Théophileさんはまあまあくせのある英語ですが、真面目に話してくれました。日本人や中国人相手では国民性を理解しているのか話さないようにしているらしく、聞けば話してくれるのですがだまっていると特に話はしてきません。ドライバーも物静かな人でした。よく研究されています。多くの日本人にとって快適でしょう。
9:18トヨタ車でホテル出発。サイドブレーキのランプは付きっぱなし(壊れている)ですが、クーラーきいて快適!

コトヌーはバイク社会。郊外に住んでコトヌーに出勤するバイクの列ができていました。一台1000ユーロで買えるし、車と違ってすり抜けられて早く着けるからバイクが好まれるとのこと。道によってはバイク専用レーンがありました。


時々工事で道が悪い場所があるものの、基本的に舗装されていました。行きは50km/h規制を忠実に守るドライバーで、旅程では2時間半のところ3時間15分ほどかかりました。
道中、Théophileさんはこじま先生のブログを見せてきて、他にも日本人旅行者がコンタクトしてくるので、たぶんほとんどがこのブログをみてコンタクトしてきているんだろうと言っていました。アフリカで仕事を生み出す小島先生、さすがです。
Théophileさんは他の日本人旅行客の写真をみせてきては嬉しそうにしていました。もっと日本人旅行者が来てほしいとのこと。ガンビエ、アボメイの他にもポルトノボ、ウイダーなどもカバーできるとのことだったので、ベナン南部を訪れる際は声をかけてみるのもいいかもしれませんね。興味ある方はVisit Ganvié Tourismへ。

アボメイ
まずはアボメイの町にある広場La place Gohoへ。


ダホメ王国のKing Gbehanzin(フランス語ではBehanzin、発音は「ベアンゼン」が近い)の像があります。在位中はフランスからの侵攻が進み、次の王の時代でダホメ王国は滅亡します。
ここでは民族衣装を借りて同じポーズをした写真を撮る人もいるらしいです。売り込みが来ましたが、時間ないし興味なくてパス。
世界遺産アボメイの王宮群

12:50 アボメイの遺跡に到着。町には遺跡が点在しており、そのうちのいくつかに行けるようです。
現地ガイドYacintheさんと合流。アボメイ出身、5ヶ月で英語を取得し、ガイド歴2年の若い方。ここからは脳が若くて素晴らしい彼の説明で王宮をまわります。
グレレ王の王宮(Palais Royal du Roi Glele)
まずはグレレ王の王宮(Palais Royal du Roi Glele)。外壁の説明からスタートです。奥から3つ出入り口が並んでいて、一番奥から見ていきました。


現在博物館のパネルがかかっている建物の扉には、ダホメ王国の戦士(warrior)が敵を捕まえた様子が彫られています。捕らえられた敵はその後王国から奴隷のように使われたとのこと。向かって右側の扉は言うことを聞かないので首を斬られてしまっています。
上に彫られているのはバッファロー。権力を表す動物でした。



中央の出入り口はアゴングロ王時代のメインエントランス。外壁には4つのレリーフがあり、パイナップルと鳥が対に並んでいます。
パイナップルは当時ココナッツの上位互換=「モダン・ココナッツ」として考えられており、王のシンボルになっていました。
鳥はゲゾ王のシンボルでcardinal(コウカンチョウ)だそうです。野球チームにカーディナルスがありますが、同じ由来なのかもしれません。
扉にもパイナップルがあり、下には玉座が描かれています。



向かって左に位置するのはグレレ王時代のもの。浮彫は風雨で消えてしまうので、主に建物内部に描かれるようになったようです。
外に描かれているのは権力を表すライオン。扉には鉈と、鉈で切られた敵の頭をぶら下げる馬が彫られていました。



角を曲がってこちらから内部に入れました。四角い区画で、中央に大きな木が生えています。外壁沿いにお土産屋さんが並んでいました。
ここから中に入るのかな?と思っていたら、なんと2024/7から長期修復中で、現地ガイドによるといつまで続くのか分からないとのこと。彼らを尊重したいということで中の見学はできず、ここでは外壁とお土産屋が並ぶところのみの訪問でした。
ツーリスト・インフォメーション


車で6分ほど、13:34 ツーリストインフォに到着。結構楽しみにしてはるばるやって来たのに中に入れなかったため、せめて資料だけでもということでここで参考書を二冊購入しました。各XOF6,000と若干高いですが、恐らくここ以外で購入することは不可能に近いということで仕方ありません。
アカバ王とHangbeの宮殿(Palais Royal du Roi Akaba et de la Reine Hangbe)

車で2分ほど、13:46 Palais Royal du Roi Akaba et de la Reine Hangbeに到着。これは入口前にある巨木。いつから立っているのでしょう。


こちらが巨木前にある入口。ここはアカバ王とその死後短期間摂政を務めたとされる女性Hangbeの宮殿で、入口にはレリーフがあったようですが修復中とのこと。本当は豚とドラムが描かれているそうです。
入口から入ると広場があり、向かって右に壁、左にゲストルームだった建物がありました。


壁は1685年のオリジナルのもので、粘土のみでつくられているようです。


ゲストルームの奥にも広場が続いていました。向かって左には三角屋根の小さな建造物が並びます。ブードゥー教による王の「spiritual rooms」として使われましたが、死後はここに葬られたとのこと。


向かって右の建物は王や王妃に会うためのミーティング・ルーム。ここには浮彫はありません。まだ浮彫のテクニックを知らなかったためとのこと。

次に向かいます。途中、Palais Royal du Roi Béhanzinを通過。こちらも結構大きいですが、扉が完全に閉められていて中の様子をうかがうことすらできませんでした。
アゴングロ王の宮殿(Palais Royal du Roi Agonglo)



14:15 最後はPalais Royal du Roi Agonglo。入口前にはアゴングロ王の在位終了(1797年)から200周年を祝うモニュメントがありました。その後ろにある入口から中に入っていきます。



入口の浮彫はこの日見た中でもよく修復されており色鮮やか。例によってパイナップルや、王を表す豹(パンサー)が彫られていました。中にもパイナップルが描かれています。
見取り図まであって親切です。


中に入ると例によって広場がありました。壁伝いに出入り口があるのですがこれは後で見学。
写真正面中央に見える建物はタシノホというpriestの部屋。王の宗教儀式を行っていたそうです。
建物のレリーフは、左から儀式用のいす、女性のpriest、アゴングロのシンボルとのこと。


さらに奥に進むと、機織りの建物が並んでいました。


一角には土産物屋がありました。特に何も買いませんでしたが・・・。



後回しにした入口に戻ってきました。中に入るとさらに広場があり、たくさんの浮彫があります。
出入り口のすぐ横にあるのはパンサーと、「Don’t touch」を表す手。




入口から向かって左の壁には、鳥とドラム、ポットとハット、魚とネット、王のspiritに対する儀式の部屋をはさんで、バッファローと鳥が描かれていました。



入口正面にあるのはミーティング・ルーム。パイナップルやココナッツが描かれています。


ミーティング・ルームの隣には隙間がありますが、中は王家の血をもつ人以外立入禁止とのこと。隙間からのぞくと、正面にAGONGLOと書かれた建物がありました。ここがアゴングロ王のお墓なんだとか。
隙間の左右にあるのはココナッツとライオンです。


入口から向かって右の壁にも浮彫があります。奥から魚と刀、足、鳥、パンサー、カメレオン、雷の神様でした。詳細は現地でガイドに聞いてください・・・。
これで一通り「世界遺産アボメイの王宮群」の見学は終了。ここまでトイレなしでしたが、グレレ王の王宮の正面にある建物が使えました。水はちゃんと流れて手も洗えました。トイレ守はいましたが払っておらず、料金がかかるのかは不明です。
14:58 トイレも無事終了ということで、Théophileから現地ガイドにチップ渡すよう促され支払いました。Théophileは10,000フラン払っており、これは通常のガイド代でしょうか。
支払が済んだらガンビエに向けてすぐに出発。本来は14:30までランチですが、すでにおしているので自動的にカットされています。
道中、ストリートセラーがアグチーを売っていました。安くてうまいとかで食べたがる人が多いらしい。違法という話は出ませんでした。


ストリートセラーはハンプ(凸部)で減速するところを待ち構えています。
ランチなしということでストリートセラーからバナナを購入してみました。10本ちょっとの山盛りでXOF1,000(250円)ということで、特別安いわけではなさそう。


実食してみました。ふくれてるのは南国バナナ特有の濃厚さがあって食べられました。やせているのはあまりおいしくありませんでした。残念。。
ちょうどラマダンの時期でしたが、ガイドもドライバーも地元の宗教とのことでバナナを食べていました。直接宗教を聞くのはためらわれましたが、こういうところでそれとなくわかるものですね。

16:12 今回の旅ではあまり見なかった雨雲。道路が濡れていたのでどうかなーと思っていましたが、Houegboでついに雨!Alladaでは晴れてきました。ちなみにAlladaから直進するとウイダーに、曲がるとガンビエやコトヌー方面になります。

17:00 Glo-Djigbé Industrial Zone。行きにも通過していましたが反対車線でした。Industrial ZoneにI LOVE… (フランス語なのでJ’aime GDIZとなっている)のモニュメントがあるのは世界的にも珍しいかも。

「ガソリンスタンド」で給油。このように路上で瓶に入れた油を入れてもらいます。こちらでは1リットル575フラン(約130円)。日本に比べれば安いですが、現地の水準からするとかなり高そうです。


水上都市ガンビエ


水上都市ガンビエに出発するGanvie Boat Stationに到着。17:40ごろ、専用のモーターつきボートで出発しました。もうだいぶ夕方。ボート乗り場手前の建物にはトイレがあり、なんと日本のポンプが使われていました。誰かが置いて行ったものを再利用しているのでしょうか。




ボートに乗りながら水上都市ガンビエのイントロダクション。ノクエ湖は、1~9月は汽水、10~12月は淡水になり、今は水深1.5mだが雨季は2.5mにもなるとか。
草で囲われたエリアは魚をとる場所で、アカジャAkadjaといいます。家族単位でスペースを設け、男が魚をとる役目。トラウト、クラブ、ナマズ、ティラピア、コイなどいろいろとれるそうです。漁は夜に行うため、だいたい朝2時まで仮眠する用の小屋がありました。外壁があるものから簡素なものまでさまざまです。


いくつか水上タクシーとすれ違いました。一人500フランで、陸上のタクシーと同じく満席にならないと出発しません。それでは不便なので普通は父親用、母親用、子供用とボートを持っているそうです。
・・・などと話を聞いていたらだんだん集落が見えてきました。40,000人も住んでいるんだとか。


もっと粗末なものかと思っていましたが、カラフルな家もあったりします。


水上ホテルがありました。少し立寄るようです。細い木の柱を並べて組み立てているようですね。



お土産屋もあり、部族間を移動するときのパスポートかわりのマスクやアート作品がありました。
部屋にも案内してもらえました。ベッドもあって一見普通の部屋のようではあります。全部で8部屋、計16人泊まれるとのこと。
昔は電気が通ってなかったのですが、今は電柱があって電気がきている場所もあるようです。2027年までに全域に電気がくる予定とのこと。




ホテルの最上階からの眺めは素晴らしかったです。


遠くにモスクがみえました。夕方はボートの商店がたくさんでるそうで、マーケットになっている一角もありました。

たくさんの枯れ木を載せている船を発見。バンブーの木で、アカジャづくり用なんだとか。




ホテルの後は集落内をクルーズ。小舟がたくさん出ています。
クルーズしていると「ヨボ!」「ヨボヨボ!」と主に子供が言ってきます。ガイドのThéophileいわく、ヨボ(yovo)とは「黒くない人」の意味で差別的意味はない、挨拶しているとのこと。ですが、明らかにからかっていたりお金をせびったりしてきています。こういうときボートでありがたい。
現地人としては、ヨボは写真を撮るのが気に入らないらしいです。

こちらは小学校。ブルネイの水上集落では学校も水上にありましたが、こちらは陸地にありました。ボートで通うそうです。

奥地まで来ると家がなくなりました。ここは「sacred forest」=聖なる森だそうです。
奴隷制時代クロコダイルが川を渡ったのを参考に川を泳いで助かったという話があり、クロコダイルは神格化され、現在でもここでは食用にしないとのこと。


聖なる森のすぐ近くに鷹(hawk)のモニュメントがあります。
すぐ近くに病院があります。魚のトラップもあり、漁場にもなっていました。
ここで引き返します。



違うルートを通るようです。教会やマーケットがありました。
ボートの上にタンクが乗っていますが、これは水を売っているとのこと。飲み水は貴重だと思われます。



だいぶ暗くなってきました。ホテルから遠くに見えたモスク、ブードゥー寺院、ガンビエの2代目の王の像などをみて、ボート乗り場に戻ります。
夕方は比較的涼しくてボートクルーズにちょうどよかったかもしれません。

19:35ボート乗り場に到着。もう真っ暗で、ガタガタの桟橋で転ばないようにスマホライトをつけて歩きました。
すぐに車に戻って出発し、20:15ごろホテルの戻りました。
やや強行軍ですが1日でアボメイとガンビエを回ることができました。時間がないときはプライベートツアーをお願いするのも一案だと思います。
ベナン旅行おしまい!