旅行日:2024/9/13
マドリードからエル・エスコリアル修道院へバスで行ってきました。やや強行軍ですが、12時ごろまでにマドリードを出発すれば問題ないと思います。今回はミラドール・アバトスにも行きましたが、周辺のハイキングをする場合は午前中に出た方が無難です。
鉄道でも行けるのですが、エル・エスコリアル修道院までの距離があり20分ほど歩きます。バスは5分くらいです。
実際の行程はこんな感じでした。
9:50 | マドリード空港着(シェンゲン内移動、入国審査なし) | |
10:30→11:02 | 空港バス、マドリード空港→アトーチャ駅 | €5(クレカ払) |
アトーチャ駅近くのホテルに荷物を置く | ||
11:50→12:01 | メトロ、Palos de la Frontera駅→Moncloa駅 | ICカード発行€2.50 乗車€1.70 (クレカ払) |
12:21→13:21 | バス、Moncloa→San Lorenzo de El Escorial | €4.20(現金のみ) |
13:31~15:44 | エル・エスコリアル修道院 | €14(クレカ払) |
16:01 | 疲れてカフェ休憩 | |
16:51→17:00 | タクシー(FREENOW)、ツーリストインフォ前→Oficina Fortaleza | €10.80(アプリ) |
17:16~17:25 | ミラドール・アバトスからエル・エスコリアル修道院を眺める | |
18:20→19:07 | バス、San Lorenzo de El Escorial→Moncloa | €4.20(現金のみ) |
メトロ、Moncloa→Estación Del Arte | 乗車€1.70 (クレカ払) | |
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エル・エスコリアル修道院
「太陽の沈まない国」と言われたスペイン全盛期の16世紀、国王フェリペ2世が王宮と修道院を合体させた複合施設。1984年世界遺産登録。個人的には「王家の霊廟」「ブルボン家の宮殿」「王室図書館」がおすすめ。先に書きますが、大聖堂は見忘れてしまいました。。
マドリード空港からMoncloa(エル・エスコリアル修道院行きバス乗り場)へ
マドリード空港から市内へは地下鉄、鉄道(Renfe近郊線)、バス、タクシーがありますが、治安を考えてバスにしました。チケットはクレカをタッチするだけ。独自ICカードとか不要で便利。T4→T2→T1→シベレス広場→アトーチャ駅というルートです。大変な混雑でずっと立っていました。シベレス広場で降りる人は人が多すぎて車内のスーツケース置き場から取り出せないとか言っていて大変そう。。
終点アトーチャ駅で降りました。目の前にあるHotel Mediodiaに宿泊予定ですが、まだ11時でチェックインできないため散策用に荷物をまとめ、持って行かない荷物は預けて出発です。
マドリードのメトロでは残念ながら専用ICカードが必要です。赤い自動券売機で購入できます。カード発行手数料が€2.50(2024年)、乗車は1回券のほか、1日券、10回券などから選びます。クレカ払い可能です。
メトロ自体は普通の電車です。スリなどには注意。Moncloa駅まで向かいます。
エル・エスコリアル修道院行きのバスに乗る
Moncloa駅に着いたら、「Dársenas」(バス乗り場)と書かれた看板に従ってフロアを上がり、バス乗り場へ向かいます。メトロのMoncloa駅とモンクロア・バスターミナルは建物がつながっていて便利。メトロ階にはちょっとした飲食店も並んでいます。
モンクロア・バスターミナルでは661番か664番のバスを探します。案内係とかはいなかったので自力で乗り場を探したところ、11番乗り場から発車でした。行列がすごすぎてどうしようかと思いましたが、5分で次のが来ると書いてあったので1本見送りました。その次は20分あくようなのでラッキー。
切符は運転手から直接購入、€4.20、現金のみです。
1時間ほどでSan Lorenzo de El Escorialバスターミナルに到着。バスターミナルに入る直前で下車でした。歩いて5分ほどで・・・見えてきました!
エル・エスコリアル修道院
順調にエル・エスコリアル修道院に到着。大きい!というか長い!
セキュリティチェックを通過し、チケット売場へ。€14、クレカ払い可です。内部撮影不可だったようですが、パンテオンだけ不可で、それ以外はフラッシュなしでOKでした。
道順に歩くと右手に中庭が登場。中庭の奥には王室図書館があるのですが最後に見ることにして、まずは右の写真の入口から中へ。
回廊と階段
回廊(Main Cloister)では聖書の場面を描いたフレスコ画が描かれています。
回廊の途中に階段があります。回廊は2階建てになっていて、歩いてきた1階部分と2階部分を結んでいます。設計はジョヴァンニ・バッティスタ・カステッロ(通称イル・ベルガマスコ)によるもの。天井画も素晴らしいです。
回廊の途中には教会もあります。ティツィアーノによる「聖ラウレンティウスの殉教」は、フェリペ2世がエル・エスコリアル修道院のために依頼した作品です。横の4作品のうち1つは同じくティツィアーノの作品、他は作者不明となっています。
聖堂参事会の部屋
回廊を抜けると修道院の参事会の部屋(Chapter room)です。
ティントレット「アハシュエロスの前のエステル」、エル・グレコ「聖マウリティウスの殉教」、ティツィアーノ「悔悛の聖ヒエロニムス」といった有名画家による作品が並びます。
エル・グレコ「聖マウリティウスの殉教」は修道院から聖堂の祭壇画として発注されたものでしたが、当時の教令に反するとして飾られることはありませんでした。
王家の霊廟
たくさんの石棺が並んでいて、ちょっとひんやりします。。
王位を継承しなかった王子や王女たちの墓が9つの部屋にわたり並んでいます。石棺は美しい装飾のついた大理石でできています。
さらに進むと王たちの霊廟があるのですが、ここは撮影禁止。階段を下る前から重厚感がすごいです。
円形の部屋に、歴代国王の棺が納められています。カルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)、カルロス2世の棺もあります。
棺は黒っぽい大理石と金メッキのブロンズによる装飾でできており、写真の入口と同じような雰囲気です。
「圧巻」でした。
ハプスブルク家の宮殿
ハプスブルク家のスペイン分家として、1516年からスペイン・ハプスブルク朝が成立します。ハプスブルク家の宮殿では、本家とは違ってフェリペ2世の質素ぶりが伺えます。当時はフランドル地方の宗教画などを飾っていました。赤いベッドはやや低めにつくられていますが、王が健康上の理由(痛風らしい)で宗教儀式に参加しやすいようにしたとのこと。
床にある線は太陽の位置を図るためのもので、正午を計算し時計を合わせていました。また、このギャラリーは王が外出できない日に散歩した部屋でした。
謁見室では16世紀後半のハプスブルク家の肖像画が飾られていました。衛兵室にはフェリペ2世が亡くなる前最後の旅行で使った椅子が再現されていました。
こちらの寝室ではインド、中国などの生地が使われているそうで、ハプスブルク家が東洋文化に興味があったことが伺えます。また、フランドルから贈られたオルガンには紋章が刻まれています。音楽や踊りを学び披露した王族もいたようです。
戦闘の間
続いての「戦闘の間」にあるのはとてもとても長い壁画!長さ60mほどの回廊にスペイン軍が勝利した場面が描かれています。1590年頃、ジェノバの芸術家たちによって制作されました。
1431年、スペイン軍(カスティーリャ王国)とイスラム軍(ナスル朝)による「イゲルエラの戦い」が描かれています。
フェリペ2世はこの題材を選ぶことで自身が王として正統であり、カトリックの擁護者であることをアピールしたとされます。
よく見るとイスラムを表すと思われる月の旗があったりします。また、窓側にはサン=カンタンの戦いやポンタ・デルガダの海戦が描かれています。
ブルボン家の宮殿
スペイン・ハプスブルク朝は断絶し、次にスペイン・ブルボン朝が成立します。ブルボン家の宮殿はハプスブルク家とは違い、フランス的で優美な雰囲気になっています。写真手前の王の部屋から続々とタペストリーで飾られた美しい部屋が並びます。
この部屋は当初ビリヤード・テーブル・ルームと呼ばれていましたが、イサベル2世の時代にダイニングルームに改装されました。壁にはゴヤの原画による「マンサナレス川岸の踊り」などのタペストリーが飾られています。
絵画展示室
ブルボン家の宮殿から下りて回廊に出たら左へ進むと、ひっそりと展示室があります。。案内もほとんどなくて本当に不親切。
ここではRogier van der Weydenの傑作とされる「El Calvario」という絵画が展示されていました。両脇は聖母マリアと福音記者聖ヨハネが描かれています。もとは別の教会のために制作されましたが、フェリペ2世により最終的にエル・エスコリアル修道院に保管されることになりました。
王室図書館
中庭に戻ってきました。向かいから見ると教会のような見た目です。そして、大聖堂を見忘れたことに後になって気付くのでした・・・。
最後はフェリペ2世が建設した王室図書館。スペイン語、ラテン語のほか、ヘブライ語、アラビア語、中国語で書かれたものもあるようです。
入口にはフィレンツェの天文学者による天球儀が飾られています。当時は地球が中心にあると考えられていました。
大聖堂は見逃しましたが、これでだいたい全部見たということで!次は庭園に向かいます。
フライレス庭園
フライレス庭園へは有料エリアを出て、道路を南に歩いていくと小さな入口から入れます。
美しい庭園を散歩しながら圧倒的な外観を楽しめます。
建物沿いの庭園部分だけが開放されていました。出入口は一カ所だけなので、奥まで行ったらまた戻らないといけません。
撮影スポット1 庭園近くの道路脇
フライレス庭園からさらに南側へ歩いていくと、道路脇からエル・エスコリアル修道院が一望できる撮影スポットがあります。
こんな感じかな!?とてもきれいに撮れました。
撮影スポット2 ミラドール・アバトス
巨大すぎるエル・エスコリアル修道院の全体を見たい場合は、展望台に行くしかありません。ツーリストインフォで行き方を教えてもらいました。タクシーで10分くらいでゲートに到着。ここから先は徒歩で山道を登ります。
この日は金曜日でしたが夕方だからかタクシーは複数のアプリを使っても非常に捕まえにくく、仕方ない歩いていくか・・・と思った矢先ちょうどFREENOWアプリでタクシーがいたのでラッキーでした。
ゲートの先は山道といっても舗装されていて全然歩きやすかったです。ツーリストインフォの方はショートカットする道があるとは言っていましたがわからず。。普通に道を歩いても大した距離ではないので問題ありません。展望台とは書かれていませんでしたが、石組みがあるしきっとここ!
眺め良し!サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルの町と修道院がよく見えます。
ですが、ちょっと遠い・・・?
アップにすると、とてもきれいに撮れました。こうしてみると本当に巨大です。
ここに行く場合はスマホだとちょっと厳しいと思うので、望遠できるカメラを忘れずに。
遠くにはエル・エスコリアルの町とバルマジョル貯水池も見えました。晴れてくれてよかったです。
サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルの町
エル・エスコリアル修道院だけ見たらさっさと帰ってしまいそうですが、落ち着いた雰囲気の町なので時間があれば散策するのもいいかもしれません。特にミラドール・アバトスの帰りに歩いたところは高級住宅街のような雰囲気でした。
夕方の中途半端な時間だったこともあり、カフェ休憩しようとしてもやっていないお店ばかり。。
Hotel Miranda & Suizoはレストランが開いていてカフェ休憩できました。スペイン語オンリーですが、こちらから歩み寄って片言スペイン語を話せば一生懸命聞いてくれて親切に対応してもらえます。
カプチーノは模様が残念でした・・・。味は問題なくてよかったです。
行きの逆パターンでマドリードに戻り、途中夕食を軽く食べて、ホテルに着いたのは20時過ぎでした。