西アフリカ旅行の帰国便はブリュッセル経由でした。灼熱のアフリカから一転、気温0度のブリュッセルを12時間ほど散策しました。個人的に2回目の訪問というのと、実質1日しかないのでちょっと急ぎ足になりました。
旅行日:2024/11/30(土) ※本文中の値段は訪問当時のものです。
【ブリュッセル】
ベルギーの首都であり、EU(欧州連合)やNATOの主要機関が置かれるヨーロッパ有数の国際都市です。一方で、中世の街並みや歴史的建造物も数多く残されており、世界遺産のグラン=プラスをはじめ、美しい広場や教会、アール・ヌーヴォー建築など見どころが豊富です。ベルギーワッフルやチョコレート、ビールなどのグルメでも知られ、多くの観光客が訪れます。
ブリュッセル空港から市内へ
セネガル・ダカールからの便でブリュッセルに到着しました。

この当時はETIAS導入前でイミグレはカウンターに並ぶ必要があるものの、日本のパスポートでのベルギー入国は非常にスムーズ。入国審査では特に何も質問されませんでした。
7:24 ブリュッセル空港 → 7:40 ブリュッセル中央駅(Brussel-Centraal)
運賃:EUR10.8
切符の買い方が分からず困っていたところ、駅員さんが親切に券売機を操作して購入を手伝ってくれました。



あっという間にブリュッセル中央駅に到着。もうすぐ8時と言うのに、土曜日だからかあまり人がいませんでした。



駅を出ると極寒!夜明けの人のほとんどいない中、まずはグラン=プラスへ歩いていきます。
クリスマスの飾りつけがされていました。




ブリュッセルの世界遺産巡り
ブリュッセルにある世界遺産は、文化遺産3つと自然遺産1つの合計4つです(2024年)。12時間しかないので文化遺産3つをめぐります。「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」(ソワーニュの森)はまた今度・・・。
【世界遺産】グラン=プラス
【世界遺産】グラン=プラス
ブリュッセルの中心部にある広場(グラン=プラスは大広場の意味)で、17世紀に建てられた華やかなギルドハウスや市庁舎に囲まれています。1695年、フランス軍の砲撃によって広場の大部分が焼失しましたが、その後わずか数年で現在見られる美しい姿へと再建されました。商業都市ブリュッセルの繁栄を象徴する場所であり、中世ヨーロッパの街並みを今に伝えることから、1998年に世界遺産へ登録されました。

日の出が8:22だったため、到着した頃はまだ真っ暗。
夜明けのグラン=プラスを撮影しました。写真では明るく映っていますが、実際はまだかなり暗いです。




8:10、ようやく空が明るくなってきました。

明るくなってきたので周辺の建物を少し見ていきます。
まずメインになるのは市庁舎。15世紀に建てられたゴシック建築の傑作で、グラン=プラスを代表する建物です。高さ約96メートルの塔の先端には、ブリュッセルの守護聖人である聖ミカエルの像が立っています。1695年のフランス軍による砲撃では広場の多くの建物が破壊されましたが、市庁舎は大部分が焼失を免れ、現在も市長や市の行政機関が使用しています。
内部は見学ツアーで公開されており、歴史ある部屋や華やかな装飾を見学することができますが、今回は時間がなく中庭だけ・・・。




周囲の建物についてもじっくり見ていくと結構楽しめます。

西側には、かつて職人たちの組合(ギルド)が所有していた華やかなギルドハウスが並びます。1695年のフランス軍による砲撃の後、各ギルドが競うように再建したため、それぞれ異なる装飾が施されているのが特徴です。「スペイン王の館」「狐の館」「船乗りの館」など、それぞれの建物には名前と由来があり、細かな彫刻や金色の装飾を見比べながら歩くのも楽しみの一つです。

北側もギルドハウスが建ち並ぶエリアで、「黄金の船」「鳩の館」「兜の館」など個性的な建物が続きます。商人や職人の組合が使用していた建物が多く、現在はレストランやカフェ、ショップなどとして活用されています。豪華なファサードには当時の職業を表す彫刻やシンボルが残されており、広場の中でも特に華やかな一角です。

東側を占める「ブラバン公の館」は、一見すると一つの巨大な宮殿のように見えますが、実際には7軒のギルドハウスを一つの壮大なファサードでまとめた建物です。建物の名前は、2階部分に並ぶブラバン公たちの胸像に由来していますが、実際にブラバン公が住んでいたことはありません。1695年の砲撃後に統一感のあるバロック様式で再建され、グラン=プラスの中でもひときわ存在感のある建築となっています。

南側、市庁舎の両脇には「白鳥の館」や「黄金の木の館」などのギルドハウスが並び、「白鳥の館」は19世紀にカール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスが集った場所としても知られています。
グラン=プラス周辺の石畳には、金色のホタテ貝のオブジェが埋め込まれています。これはスペイン北西部の巡礼地・サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう「サンティアゴ巡礼路(カミーノ・デ・サンティアゴ)」を示す道しるべです。
ホタテ貝は古くから巡礼者のシンボルとされ、ブリュッセル市内には約50か所の貝殻マークが設置されています。中世には巡礼者たちもこの道を通ってスペインを目指して歩いており、現在でも巡礼路のルートをたどることができます。
石畳には世界遺産のマークもありました。



周辺には朝から営業しているカフェもありましたが、デカフェのコーヒーがないとか。
結局スターバックスでカモミールティー(EUR9)を飲みながら体を温めつつ10:00まで休憩。
ただ店内は思ったほど暖房が効いておらず少し寒め。
それでも朝早くから日本人らしき旅行者をかなり見かけました。
ブリュッセル市立博物館(王の家)
入館料:EUR10

寒さをしのぐことも兼ねて入館しました。ロッカーが利用できます。
グラン=プラスの市庁舎の向かいに建つネオゴシック様式の建物で、現在はブリュッセル市立博物館として利用されています。もともとは13世紀にパン市場(ブロートハウス)があった場所で、その後ブラバント公や神聖ローマ皇帝カール5世の所有となったことから、フランス語で「王の家(メゾン・デュ・ロワ)」と呼ばれるようになりました。ただし、実際に王が住んだことはありません。
1階は工芸品などの展示、2階はブリュッセルの歴史、3階には歴代の「小便小僧」の像が展示されていました。
いくつか展示物を掲載します。






また、ここの目玉の一つはオリジナルの小便小僧です。
【小便小僧】
ブリュッセルを代表する観光名所の一つで、小さな男の子が放尿する姿をしたブロンズ像です。17世紀初頭に製作されましたが何度も盗難の被害に遭ったことから、1966年以降は文化財保護のため博物館へ移されました。現在外に置かれている像は盗難後に再制作されたものです。
世界各国から贈られた1000着以上の衣装を所有しており、記念日やイベントに合わせて衣装替えが行われることでも有名です。街のシンボルとして、多くの観光客が訪れています。




外に出ると、もうだいぶ人が出てきてしまっていました。

時間に余裕がなかったため、10:42頃に博物館を出て、オルタ地区へ移動。
11:34 Parc → Bailli トラム93(クレジットカードのタッチ決済利用)
Googleマップを見ながら乗り場を探しましたが少し分かりづらく、ちょうど1本前が出発した直後だったため10分以上待つことになりました。
(補足)ベルギーチョコレート

ちなみにグラン=プラスにはゴディバがあります。
今回は時間の関係で立ち寄っていませんが、お土産買うとき用にチョコレートを簡単にまとめてみました。
| ブランド | 日本 | 特徴 |
|---|---|---|
| Neuhaus(ノイハウス) | ○ 銀座三越 | ボンボンショコラ(プラリネ)の発祥ブランド。ベルギー王室御用達。 |
| Pierre Marcolini(ピエール マルコリーニ) | ○ 銀座本店(東京)、名古屋店、グランフロント大阪店など | カカオ豆の選定から手掛ける高級ブランド。ブリュッセル・サブロン地区の本店は人気。 |
| Leonidas(レオニダス) | ○ 田園調布店(東京・日本1号店)のほか、全国に約20店舗 | ベルギー国内で最も身近なブランドの一つ。量り売りが人気で価格も比較的手頃。 |
| Godiva(ゴディバ) | ○ 全国に多数 | 日本でも定番。ベルギー限定商品もあるので現地でのぞく価値あり。 |
| Wittamer(ヴィタメール) | ○ 大丸東京店、日本橋髙島屋店、大阪・京都・神戸など主要百貨店 | ブリュッセル創業の老舗。ケーキや焼き菓子も人気。 |
| Mary(マリー) | 日本未上陸 | 王室御用達。クラシカルで上品なパッケージはお土産にも人気。 |
| Van Dender(ヴァンデンダー) | 日本未上陸 | ブリュッセルの実力派。Bean to Barにも力を入れる王室御用達ブランド。 |
| Galler(ガレー) | 常設店なし | バータイプのチョコレートが有名。お土産向き。 |
【世界遺産】ソルヴェイ邸
入館料:EUR18(事前予約)

【世界遺産】建築家ヴィクトール・オルタによる主な邸宅群
19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したベルギーの建築家ヴィクトール・オルタが設計した4つの邸宅(タッセル邸、ソルヴェイ邸、ヴァン・エドヴェルド邸、オルタ邸(現在はオルタ美術館))からなる世界遺産です。植物を思わせる優雅な曲線や、鉄・ガラスを積極的に取り入れた革新的なデザインは、アール・ヌーヴォー建築の代表作として高く評価されています。建物だけでなく、家具や照明、内装まで一体となってデザインされているのが特徴で、近代建築の発展に大きな影響を与えました。
1898年から1900年にかけて、実業家アルマン・ソルヴェイのためにヴィクトール・オルタが設計した豪邸です。アール・ヌーヴォー建築の傑作の一つとされ、曲線を活かした優雅なデザインに加え、大理石や希少な木材など当時最高級の素材が惜しみなく使われています。家具や照明、装飾までオルタが統一してデザインしており、建築と芸術が一体となった空間を体感できる貴重な邸宅です。
12:00~12:40の回に参加しました。
予約時間になるまで建物へ入ることはできず、ほぼ時間ぴったりで案内が始まりました。


ソルヴェイ邸の中心にあるのが、いきなり登場する吹き抜け構造の大階段です。この階段を中心に空間全体が設計されており、まさに邸宅の中心的存在です。
階段は劇場にあるような、一方向ではなく途中で分岐しながら上階へと続く構造で、天窓から差し込む自然光が空間を照らします。アール・ヌーヴォー特有の「直線ではなく流れるような空間構成」を象徴する場所で、階段そのものが建築というより一つの演出空間のように感じられます。



階段の踊り場上部には、画家テオ・ファン・レイセルベルヘによる壁画が設置されています。新印象派(点描技法)の代表的な画家の一人で、繊細な色の粒を重ねることで光や空気感を表現する作風が特徴です。
この作品は人物が庭園で読書をしている場面を描いたもので、自然光が差し込む階段空間と強く結びつくように配置されています。絵画と建築が独立した存在ではなく、「光の中で一体化するように設計されている」のが大きな特徴といいます。
ソルヴェイ邸の2階は、階段ホールを中心に、応接室・食堂・書斎などが左右に配置され、家の中にいながらも一つの大きな空間として感じられるよう設計されています。階段が劇場なら2階は舞台という感じです。
各部屋が完全に壁で閉じられておらず、ガラス扉や開口部で緩やかにつながっています。そのため、扉を開けると階段ホールと各部屋が一体となり、来客時には「ひとつの大広間」のようにも使える構造になっています。
また、2階は家族の生活の中心でもあり、用途ごとに空間が細かく分けられていますが、動線は複雑に交差せず、自然に回遊できるよう工夫されています。建築というより「光と人の動きを設計した空間」といった印象です。






ソルヴェイ邸のもう一つの象徴が、窓や天窓に使われている曲線的なステンドグラスです。「光を描くための装置」として設計され、植物の茎や蔦のようなデザインがそのままガラスの枠となっており、そこから差し込む光が時間帯によって室内の色合いを変化させます。
スタッフは家族経営のような温かい雰囲気で、小さな男の子が台所の呼び鈴の仕組みを説明してくれる場面もあり、とても微笑ましかったです。
最後の約10分は写真撮影タイムとの説明でしたが、実際には15分ほど撮影できました。
室内は全体的に空間が広く、とてもゆったりとした印象でした。
【世界遺産】タッセル邸

1893年に建築家ヴィクトール・オルタが設計した邸宅で、「アール・ヌーヴォー建築の始まり」ともいわれる歴史的な建物です。それまで主流だった左右対称で装飾が少ない建築とは異なり、植物を思わせる曲線や鉄・ガラスを活かした自由なデザインを取り入れ、新しい建築様式を確立しました。その革新性は世界中の建築家に大きな影響を与え、現在ではアール・ヌーヴォー建築を代表する作品として世界遺産に登録されています。
今回は外観のみ見学しました。


【世界遺産】オルタ美術館
入館料:EUR12(事前予約)
ヴィクトール・オルタが自ら設計し、1898年に完成した自宅兼アトリエを公開した美術館です。建物そのものが展示作品となっており、柔らかな自然光を取り入れる吹き抜けや、植物をモチーフにした曲線的な階段や手すりなど、アール・ヌーヴォー建築の特徴を間近で見ることができます。オルタの家具や設計図なども展示されており、彼の建築思想や暮らしぶりを知ることができる人気スポットです。

13:15の回に参加しました。
館内は撮影禁止!そのため写真はありません。荷物はロッカーへ預けて手ぶらで見学します。
建物内部は非常に凝った構造で、2つの階段が並び、そのうち1つは中2階へ続く複雑な造りになっていました。
通路や階段は狭く、荷物の持ち込みが禁止されている理由にも納得です。
展示では、日本文化だけでなく中国文化からもデザインの着想を得ていたことが紹介されていました。
14:25 Trinité → 14:45頃 Montgomery トラム81
【世界遺産】ストックレー邸
駅から少し歩きます。
ロータリー周辺は道が分かりにくく少し迷いました。
【世界遺産】ストックレー邸
1905年から1911年にかけて、銀行家アドルフ・ストックレーの邸宅として建てられました。設計を手がけたのはオーストリアの建築家ヨーゼフ・ホフマンで、建築から家具、照明、庭園、食器に至るまで統一されたデザインでまとめられた「総合芸術作品」の代表例とされています。また、室内には画家グスタフ・クリムトによる豪華なモザイク装飾も施されており、20世紀初頭の芸術運動「ウィーン分離派」を象徴する傑作として2009年に世界遺産へ登録されました。

内部は非公開のため外観のみ見学。時間も限られていたので、写真を撮ってすぐ駅へ戻りました。
敷地内には車が停まっていて、今でも誰か住んでいるようです。



これでブリュッセルの世界遺産巡りはおしまい!
空港に向かいます。
15:22 Montgomery → 15:47 Bruxelles-Nord トラム25
2分遅れで到着し、最終的には約10分遅れでブリュッセル北駅へ到着しました。
時間は余裕を持った方がいいですね。
ブリュッセル空港
観光はもうおしまい!ヨーロッパの町だとあっという間に観光時間が終わってしまうように感じます。
15:55 Bruxelles-Nord → 16:08頃 ブリュッセル空港 IC(アムステルダム行)
運賃:EUR10.8
時間がなかったため、行きと同じく駅員さんに券売機の操作を手伝ってもらいました。


改札を出る際は、切符のQRコードをスキャンして通過します。
搭乗券はダカールですでに受け取っていたため、チェックインカウンターには立ち寄らず、そのまま保安検査へ向かいました。
保安検査エリアへ入る前に、なぜか搭乗券を2回スキャン。セルフゲートで一度、その先で係員にも再度確認されました。保安検査では、パウチして持ち歩いていた大量のコインについて中身を見せるよう求められました。
その後の出国審査では特に質問はありませんでした。

出国スタンプは入国スタンプとは全く別のページに押されました。毎回「なぜそこに?」と思ってしまいます。
以前ヘルシンキ空港のヒステリックな女係員から「隣に並べて押さなければならない(よってあなたは押す場所を指定することはできない)」と説明されたことがありましたが、実際には係員によって対応が違うようにも感じます。
このころシェンゲン圏では日本人は将来的にスタンプが廃止される予定だと聞いていたため、こうしたことを気にするのもあと少しかと思いました。
The Viewラウンジ

日本人利用者がかなり多い印象でした。
料理はどれもおいしそうです。
シャワーが利用できるか尋ねたところ、受付で呼び出し用のパネルだけ渡され、その後しばらく何も案内がありません。
40分ほどして再度聞きに行くと、あっさり鍵を渡されました。何だったのかよく分かりません。


シャワールームには仕切りがないため、荷物の置き場所には少し工夫が必要です。
シャンプーと歯ブラシは用意されていました。
タオルは2枚ありましたが足拭き用はなく、1枚を床に敷いて利用しました。ドライヤーもありません。
水圧は弱めでしたが、長かったアフリカ旅行の汚れを洗い流せたことが何よりありがたかったです。

18:35 ブリュッセル(BRU)→ 16:10(翌日) 成田(NRT) ANA NH232便
三週間の西アフリカ旅行を終えて日本の航空会社の飛行機を見ると一気に安心感が増します(笑)。
貨物の積み込みに時間がかかったようで、実際の出発は18:53でした。
機内は3-3-3配列でしたが中央席がかなり空いていて、この旅で一番空いているフライトなのではとも思いました。
乗客のマナーも良く、トイレも終始きれいな状態が保たれていて、とても快適なフライトでした。
出発はやや遅れたものの、ほぼ定刻の16:14 成田空港に到着。
これで今回の西アフリカ・ヨーロッパ旅行は無事終了です。
長旅の締めくくりに、ブリュッセルで世界遺産とアール・ヌーヴォー建築を巡る充実した一日となりました。

